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パリのチョコレート事情2015 
  初物求めて市内散歩

 2015年10月、有名どころのショコラトリーが軒を連ねるパリで、ローカルブランド探しの散策を楽しんできました。

 メゾン・デュ・ショコラ、ジャン・ポール・エヴァン、ミシェル・ジョーダンも素通りして、店名も正しく言えない(覚えられない)店の発見は、もしかしたらこれっきりになるかもしれない,一期一会の刺激に満ちた出会いでした。
 再会は、次のパリ旅行よりも日本国内の催事場になるかもしれない、初物づくし...。トキメキと興奮の鮮度が落ちないうちに...のレポートです。
   
                         16/02/11

 1998年、『日本におけるフランス年』としてお台場で開催されたフランス祭で、初めて出会ったメゾン・デュ・ショコラは、その年のパリ旅行に、店を訪れる感動を添えてくれました。
 同年に表参道に第一号店がオープンしているとはおもいもよらないわたしたちが、高額マロングラッセとの再会を喜び、持ち帰り不能な程の大量買いをして発送手続をてからまもなく20年、メゾン・デュ・ショコラは都内の店舗も増え、オンラインショップの環境も整い、今は、大阪の百貨店にも出店しています。ジャン・ポール・エヴァンもほぼ同様の経緯をたどり。一期一会の懸念転じて、日常の生活圏内にあるブランドになりました。
 レア度は落ちてもおいしさは変わらずなので、身近に店舗がある状況はありがたいのですが、ただ、(マリアージュ・フレールの茶葉のように価格差が大きい場合はともかく)非日常の旅先で、日常に馴染んだモノへの食指は鈍りがちというわけで、今回は“日常で入手困難なローカルブランド”に重きを置いて歩いてみました。

 とはいえ、むろん基本はガイド誌だよりですが、旅行ガイドに紹介されている店はおなじみの...なので、主に参考にしたのは“パリのいちばん”と“パリのチョコレート屋さん”の2冊でした。いづれも発行は2011年...購入時期は覚えていませんが、長く我家の書棚に付箋付き(一応チェックはしていたようです...。)であった本です。

 訪れたショコラティエ、一件目は、ドゥボーブ・エ・ガレ(Debauve et Gallais)。『パリのいちばん』にパリで一番古いショコラトリーとして記載され、『パリのチョコレート屋さん』ではフランス国王御用達の店として紹介されていた店です。

 パッケージのロゴに何となく見覚えが...と思ったら以前、通りがかりに,本店ではない別の店に立ち寄っていたのでした。サイズも味もパリブランドのボンボンショコラのイメージよりは少しボリュームを感じた記憶があります。

 200年変わらず守られてきたというレシピで作られたチョコレートは、偶然の出会いのときと同様(あたりまえ)、やっぱり“味の濃さ”が印象的でした。好みかと言われれば、....チョコレートがお菓子になる前の名残を感じさせられるような大人味、わたしには少し重いと言うのが正直なところで、ボンボンショコラよりも、缶入りのドラジェの方が、消費速度が早かったです。
 本店は、半円のカウンター(ショーケース)が重厚感を漂わせるものの、ショコラトリーというより、歴史あるお菓子屋さんという感じの空間でした。
 
 
 2件目は、『パリのチョコレート屋さん』で最初に記載されていたジャン・ポール・エヴァンに続き2番手で紹介されていた、ジャック・ジュナン・フォンダ−・アン・ショコラ(Jacques Genin Fondeur en Chocolat)。

 統一された四角形の表面に色模様がほどこされたチョコは、かなり前に心斎橋大丸(そうとう前)出店していたリシャールを連想させられましたが、オーナーシェフはメゾン・デュ・ショコラでパティシェを努めた経歴を持つと言うことでした。 
  掲載されていたのは北マレにある店でしたが、我家はラッキーにも7区の店に遭遇できました。
 ガラスが多用されたスタイリッシュな店構えにふさわしく、チョコもゼリーもケーキも整然と..統一された美しさの中で陳列されていました。先にシルバーメタリックの箱の大きさを選んで、好きなフレーバーを詰めてもらうのですが、商品と箱の大きさが計算されているのでしょう、チョコはもちろん、ゼリーも隙間なくピッタリとおさまって、とても綺麗でした。
 野菜はパスしてフルーツフレーバーばかりを6種、2個づつめてもらったゼリーは、極小サラメ砂糖の甘みが控えめで、コンフュチュールをそのままかたどったような、しっとりと濃厚な風味。チョコは、フィリングとクーベルチュールチョコとの食感の差が小さく、口当りのなめらかな仕上がりでした。

 三件目は、通りがかりに目にとまって、入店したシャポン(CHAPON)という小さい店。
 チョコレートはフレーバーごとに形も仕上げもちがっていて、艶のあるドーム型、マットなラウンド、飾りがあったり無かったりと様々でした。“お菓子屋さん”雰囲気の可愛らしい箱の大きさを先にえらんで、詰め合わせてもらうシステムはジャック・ジュナン・フォンダ−・アン・ショコラと同じですが、余白は...ノープロブレムの範疇でしょうか。仕切り無く、余白有りの箱入りは、持ち歩きに少々気を使いましたけど、チョコはどれもそれなりに“丈夫”な仕上がりだったようです。

 4件目は、前回帰国当日に立ち寄って購入したドラジェがなつかしくて、積極的な意志を持って再訪したアン・ディマンシュ・ア・パリ(UN DIMANCHE A PARIS)。
 ショコラテェではなくパティスリーと言うのが正解かもしれません。もともと、外からも目をひかれるのはおいしそうなケーキが並んでいるショーケースなんですよね。
 前回は宿泊ホテルの近くだったので、もう少し早く気がついていたら、ケーキも堪能できたのにと残念に思いつつ、ドラジェやフルーツゼリー、小粒で繊細なチョコを持ち帰りましたっけ。
 再訪したのは、帰国日前日でした。ボンボンショコラとドラジェとゼリーと、そしてケーキも買って...本当ならホテルに一旦戻ってゆっくりとティータイムを楽しむところ、何かと忙しい帰国日前日...ホテルまで戻る時間的余裕は....。そこで、リュクサンブール公園のベンチをかりて、アウトドアティータイムの予定に対応すべく、主人の鞄には使い捨ての紙皿とプラスティックフォークを入れで出かけました。
 2年振りの店で購入したのは塩キャラメルのエクレア。公園に行く前に雨にふられて、不本意ながら...の場所での味見になりましたけど期待以上のおいしさでした(上イメージ右)。

 ドラジェは、チョコが比較的柔らかめ(表面がパリンとしていない)の仕上がりのモカやミルクのベーシックタイプに加え、前は気がつかなかったコーティッング仕様のカラフルなフルーツ(?)フレーバーも購入しました。
 ゼリー、チョコレートも、やっぱり感動の薄れないラインナップで,厚みの薄い小さい正方形のチョコは、王道に洗練を重ねて仕上げられたような美しさでした。

そしてもう一件、通りがかりに気になって入店したのがコート・ド・フランス(Cote de France)。

 珍しく、といっていいでしょう。カカオ*%以上でなければチョコレートとは言わないとされるパリ(フランス)で、ミルクチョコレートで仕上げられたボンボンショコラの充実ぶりがきわだってました。
 程よく甘く、マイルドなミルクチョコの厚みは、中道といいましょうか、繊細さはジャック・ジュナン・フォンダ−・アン・ショコラやアン・ディマンシュ・ア・パリに一歩譲り、主張の強さは、ドゥボーブ・エ・ガレよりも控えめですが、ビターよりもミルク(チョコ)好みの我家には,フレーバーの選択肢の多い店でした。

 最も古いショコラティエのボンボンショコラが、なんだか最もパリのチョコのイメージから遠い...一見して型使いのフレーバも多くて、ちょっと小ぶりのベルギーチョコに近い感じがするのが面白かった....。
 最初に知ったパリブランドがメゾン・デュ・ショコラがやジャン・ポール・エヴァンだったので、極薄のクーベルチュールに小さな小さな一粒が印象づけられましたが...パリに出店した頃から、ピエール・マルコリーニも小ぶりのベルギーサイズからもっと小さくなって、パリサイズに迎合した..などと思っていたものでしたが...案外(我家の)イメージからはずれたチョコの方が多いのかもしれませんね。

                                          16/02/17 


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